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岩手に帰省して感じたこと〜『健康』で行きたい場所に行きたい時に自由に行ける事の幸せ〜

 母方の実家は岩手県にあります。

この秋、久しぶりに祖父に会いに帰省しました。おそらく1年ぶりくらいでしょうか。祖父は今年で94歳。耳が少し遠くなってはいるものの、足腰も元気で、まだまだしっかりしています。


 今回は火曜日に出発し、金曜日に帰る3泊4日の滞在でした。


 私は昔から祖父母にとても可愛がられた、いわゆる“おじいちゃん子・おばあちゃん子”です。母は子育て支援のNPO活動に忙しく、家を空けることも多かったため、自然と祖父母と過ごす時間が多くなりました。


 今の自分の活動にも、その頃の経験がどこかでつながっているような気がしています。


 岩手には子どもの頃からよく行っていました。料理を教えてくれたのも、2年前に亡くなった岩手の祖母です。今回は、祖父の好きな皮を剥いたナス料理やお刺身、とろとろに煮込んだカレー、祖母直伝のなめこの佃煮などを用意すると、美味しそうに食べてくれました。


 デイサービスのスタッフさんからは、「芋掘りの時もとても張り切っていましたよ」と教えていただき、少し安心しました。


 滞在中は、祖父の“運転手役”として過ごす時間も多くありました。「苗を見に行きたい」「友達の家に挨拶に行きたい」「床屋に行きたい」と、祖父が指差す方向へ車を走らせます。途中、道に迷う場面も何度もありましたが、祖父の満足そうな笑顔を見て、こちらまで嬉しくなりました。


 また、ケアマネジャーさんと、母の妹にあたる叔母と3人で、祖父のこれからについて話し合う機会がありました。


 祖父の生きがいは“畑仕事”です。作物を育て、自分で食べたり、人に分けたりすることが、日々の活力になっています。


 ただ、農作業は体力を必要とするうえ、叔母も遠方に住んでいるため、今後、その生きがいをどのように続けていけるかが課題です。


 現在の介護保険の制度では、ヘルパーの支援は日常生活に必要なこと(お風呂や、食事、洗濯、掃除など)に限られています。

祖父は身の回りのことは自分でできると言い、週3回の1時間の食事の調理介助と、週2回のデイサービスのみを利用しています。


 それでも自宅で1人で暮らせているのは、畑という生きがいがあるからこそだと思います。

もし、その畑仕事を少し手伝ってくれる人や、一緒に見守ってくれる人がいたら、生活の質はもっと豊かになるのではないでしょうか。


 祖父は車の運転をやめ、自転車も安全のために手放しました。


 それでも友人の家に野菜を届けたい気持ちは変わらず、歩いて出かけて転んでしまったこともあるそうです。


 それほどまでに、「自分の行きたい時に、行きたい場所へ行く」ことへの想いが強いのだと感じました。


 その姿を見て、かつて自分が体調を崩して入院していた時のことを思い出しました。自由に動けない時間の中で感じた、あの“閉じ込められたような絶望的な感覚”。

 

 もしかすると『健康であること』とは、身体の状態だけでなく、「行きたい時に、行きたい場所に自由に行けること」なのかもしれません。


 高齢になると、移動手段が限られ、行ける範囲も狭くなります。だからこそ、その範囲の中に“人と関われる場所”“生きがいを感じられる場所”を創ることは、とても大きな意味があると改めて感じました。

 これは、私たちの活動の根幹であり、原点でもあります。


 人はいくつになっても、誰かと関わりたいし、生きがいを持っていたい。それが仕事であれ、趣味であれ、好きなことであれ、それこそが日々の活力になり、明日を生きるエネルギーになります。


 その“好きな事”を支える仕組みがまだ十分でない今だからこそ、私たちは“人が集まり、笑い合い、つながりを感じられる場所”を地域の中に広げていきたい。

 

 アクト(活動)トラスト(信頼)という名前の通り、行動を通じて人と人がつながり、生きがいが生まれる活動を、そんな場所を一つでも多く創るという信念を、これからも大切にしていきたいと強く思いました。


 そして、もしいつか自分が事業の一線を退く時が来たら――

岩手に戻り、畑を耕し、大好きな料理をしながら、近くのゴルフ場でゴルフをしてのんびりと過ごす。

 そんな穏やかな時間を楽しむのもいいなと思える、色々と考えさせられた貴重な帰省の時間でした。2025年10月24日 僕の35歳の誕生日に 理事 増田 賢介

祖父の為に作ったカレー。多かったら残して良いよと言って出したら、完食してくれました。皮を剥き、トロトロに煮込んだ野菜たっぷりカレー。
祖父の為に作ったカレー。多かったら残して良いよと言って出したら、完食してくれました。皮を剥き、トロトロに煮込んだ野菜たっぷりカレー。

 
 
 

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